【酒屋の嫁事情】泉橋酒造へ行く
「田んぼからテーブルまで、泉橋酒造を知る」という
酒屋さん向けに開催された、何とも贅沢なセミナーへ参加させて頂いた。
「酒屋の嫁」とは何て素敵なお仕事なのだろう、とつくづく思いつつ。
江戸・安政4年(1857年)創業の酒蔵。
名前の由来は、戦前、酒蔵近くに「泉川」があり、蔵の屋号が「橋場」なので
「泉橋酒造」と名がついた。
地元での米作りから酒造りまで一貫生産する「栽培醸造蔵」である。
だから酒蔵の裏には田んぼが広がっていて、「この米が酒になる。」と視覚で感じる事が出来る。
田植えから瓶詰めまで一貫して行い、それに加え消費者のテーブル(酒と食のペアリング)までも提案する。
なんてパワフルな農業なのだろうと、売り手の私としては驚きとワクワクと、何だかうれしくなる。
酒話をする橋場社長は、本当に楽しそうにうれしそうに話をするのが印象的で、
きっとお酒の未来予想図1~10(もしくは100)くらいまで頭の中にあるから
そういうオーラが出るのだろうなと、これまた勝手な想像をしながらお話を聴いていた。
蔵見学の後、約30種類ものお酒の試飲をさせて頂き、温度帯の違いで味わいも変わると再認識。
造り手のお話は、売り手にとって生き字引そのもの。
「セミナー第1部」が終わると、夕暮れからは「セミナー第2部」という
もう美味しい予感しかしないセミナーへと続く。
場所も酒蔵から「蔵元佳肴いづみ橋」へと移動。
これがまさにいづみ橋さんが発信している「田んぼからテーブルまで」である。
そのお酒と仲良しであろう、どころか、相棒とも言える季節のお料理が登場し
蔵人でもありこのレストランも手伝っている方が一つ一つ丁寧に、でもシンプルに
そのペアリングの意味を語る。
▼バターナッツ南瓜・牧歌ミルクの擂り流し × 秋とんぼ楽風舞 ぬる燗と冷
擂り流しの上層部は温かくぬる燗かんと、下層部は冷たく冷酒と。
料理とお酒の温度帯を同じにする、というのも体にとって優しく自然なことなのかなとふと思う。
▼落花生・葡萄・梨・柿・無花果・リコッタ―チーズのサラダ × とんぼスパークリング生酒
食を語れるタイプではないので、率直に、お料理とお酒が同じ味(味わい)だった。
形は違うがとっても似ている。乳酸、ヨーグルトを思わす何かが同じ。
▼戻りかつお色々盛り × 秋とんぼ山田錦
ほとんどのグラスが木村硝子。
「グラスで味わいは変わる。これは本当です!」と発信している宮酒であるが、
こんなにじっくり色んなグラスで飲んだことはなく。
このすぼまっているグラス。カツオの臭みをグラスに残さないためのチョイスだそうで。
本当に残らない。
「グラスで臭みは残らない。これも本当です!」
▼帆立・しうり貝・鼈甲蜆の酒潮煮 × 桃色黒とんぼ
稲の穂先がピンクがかったいたことから付けられた「桃黒とんぼ 純米生酛」
燗にすることによって生酛特有の味わいが柔らかに。
温かい出汁と熱燗が、上手い言葉が見つからずそのままですけど、、、美味しい。
ラベルとお猪口の色が同じで、ほっこりする気持ちが増す。
▼ロース肉粕味噌漬 × 恵 赤ラベル
このリーデルのグラスは「純米酒の味わいを最大限に生かすグラスを作ろう」と
泉橋酒造含む酒蔵さんたちとリーデル社で作ったそうで。
まるで平杯を大きくしたような。五味をダイレクトに感じる(感じれる)形状とのこと。
その様子はYouTubeにて → ★
▼さんま黄金煮 × 秋とんぼ雄町
▼すじこの新とろろ浅利旨味出汁茶漬け
あれ?なぜかこれらの写真がない。おそらく酒話に熱中し、お腹も心地酔く満たされ
気が抜けた?のかもしれない。まだまだ未熟な嫁である。
▼戻し十郎梅 ラ・フランスのコンポート × 山田十郎純米梅酒
最後の締めは梅酒。心も体も心地酔く満たされる。
「酒屋万流」
たくさんある酒蔵の各々の造りや想いは色々で、
それと同じように私たち酒屋もいろいろ。
田んぼの目の前にひっそり佇む小さな酒屋ではありますが、
造り手の想いを、売り手として宮酒らしく、飲み手の皆さまにお伝え、お届けできたら
酒屋としてこれ幸い、とつくづく思う一日であった。
で、この日の本当の締めは、海老名の地ビールであったことは内緒の話。w
同業者である酒屋さんたちとのお話はとても楽しく為になる。
ありがとうございました。