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【酒屋の嫁事情・宇和島墓仕舞いの旅③/東光院のこと】

酒屋の嫁事情・宇和島墓仕舞いの旅①②を読んでくださった方、
私事にお付き合いくださりありがとうございます。
今回が最終章③となります。大磯東光院のこと。
ずっと前から東光院が好きでして、お伝えしたいこの気持ち!なんて思っていました。
しかし今まで何故か書くに至らず。
「墓仕舞いの旅」をきっかけに、今こそ書くとき、となりました。ピピピ。

それは8年前(2015年)、新月・宮酒場は大磯の今古今/日日食堂(現在閉店/現在「日々の料理」)で
開催していた。
そこを手伝っていた東光院ご住職と寺務のお二人。
最初はお寺の人とは知らず、知ったのはだいぶ後。
一緒に新月・宮酒場をやりながら、「お寺のこれからはどう在りたいか」「お墓とは」などの
お話を聞いたりしていた。
会う度に色々なことをお話するようになり、私はお二人が大好きになった。

 ▲ご住職の大澤暁空さん。(左)
一目瞭然、朗らかで優しいお人柄。
暁空さんの説法はじんわりと心に染みます。
大学では写真を専攻されていたそうで、父の遺影は暁空さんが撮影。

そして寺務の古井昇空さん。(右)
寺務になる前は都内でウェブ会社をされてたそうで、宮酒のHPやショップカードは全て昇空さん。

東光院のホームページのトップ画面には
フリースペースや
仏教図書館があったり
霊柩車を運転したり
ちょっと変なお寺です」という文言

昇空さんが作った宮酒ホームページのトップ画面には
「田んぼと川のせせらぎ
ひっそり佇む
ちょっと変わった宮川酒店」
「店内に何故か本棚と客席
間違えなく酒屋ですよ」とある。
昇空さんのこういうユーモアというかセンスはとても私好みなのである。

そんなお二人は「お寺は本来、困ったときの駆け込み寺であった。
でも今は違ってきている。だから僕らは駆け込み寺でありたい。」と言っていた。
元来のお寺スタイルに加え、未来のお寺を考えているお二人。
「大切なのは生きている人の想いです。生きている人が安心して暮らすこと。
お寺事情やお墓事情がそれを邪魔してはいけない。」と。

お二人がこの気持ちを強く抱くきっかけとなった、長野県松本市の神宮寺元住職高橋卓志さん。
有名な方なのだが、まさかのアポなしで伺ったそう。奇跡的にお話をすることができたとのこと。
大事なご縁は遠回りしても寄り道しても繋がるものである。

そこから東光院の未来のお寺作りが始まった。
駆け込み寺となるべく、皆が集えるよう「海近寺巣(うみちかてらす)」を作り、
月2回医療や介護の専門家がいる「暮らしの保健室」を始めた。
今はお休みしているが、以前は夜の大人時間をお寺でと「ほろよい図書館」もあった。
通夜や葬儀は、すべてをお二人で執り行う。
現在は隣接する空き家をリノベーションし、多世代食堂「おむすび」を準備中。
詳しくはこちらを。
朝日新聞 ■ダウンニュース

そしてもうひとつ、新しいカタチのお墓。そこに父は眠っている。

2016年、父の肺がんが発覚しゆっくりと闘病生活になり、同時に終活をし始めた父。
それを横目に、切なさと悲しさと、そして父の強さと愛情を感じる1年半だった。
ある日「お父さんはおばあちゃんの三十三回忌法要後、宇和島のお墓を墓仕舞いしようと思う。
でもお父さん多分間に合わない(というかいない)からあとは綾ちゃんお願いね。※酒屋の嫁事情①
で、都内のタワーなお墓に入ろうと思うよ、どれがいい?」と
パンフレットをたんまり集めていた。

私は何だか違和感しかない。
そしてふと東光院のお二人が頭に浮かんだ。
父に伝え、お話を聞くことにした。父は自分の希望や想いをお二人に話しそして最後に
「あとはお二人にお任せしようかな。」と呟いた。

それから自然の流れで父は小さくなっていくのだが、
そのころ東光院の新しいお墓たちの建設が始まり、
「お父さんのお墓、どこの場所がいいですか?」と選ばせてくれた。
父は宮酒ワインバー活動を応援してくれていたので、
毎月出店している大磯市が見える海側を選んだ。
東光院のおかげで、父との別れは寂しいけど何だか温かいものとなったのである。

「お寺へ行こう」
そんな気持ちになる東光院。これをずっとお伝えしたかったのだ。
そしてこの想いが伝わったのか、10月20日(金)~22日(日)開催の大磯うつわの日
ここ東光院で宮酒ワインバーをさせて頂く。
「酒器」×「酒」×「食」×「寺」+「音」を心地酔く愉しんで頂けたらなと思っている。
父が眠る東光院で宮酒ワインバーが出来ることに心から感謝しつつ。

酒屋の嫁事情「宇和島墓仕舞いの旅」、
墓仕舞いなんて本当は向き合いたくなかったけれど、ゆっくりと時間をかけて受け入れて、
戸惑いつつ誓いつつ行った「宇和島墓仕舞いの旅」からたくさんのことを頂戴しました。
ありがとうございます。

そしてお読みくださった皆さま、お付き合いくださりありがとうございました。


*おまけの話
父はお空に逝く数日前に主人に言った。
「みっちゃん、東光院のお墓は7人まで入れるから、(何かあったら)よかったらどうぞw」と。笑
ユーモアは人を幸せにする。

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