酒屋の嫁ブログ

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【酒屋の嫁事情・酒蔵へ行く-辻本店(岡山)-】

酒屋の嫁歴15年となり、そしてこの度「妄想旅歴15年」をついに卒業した。

何事も妄想は創造になり現実になる、気がしてならない。

色んな方のご協力で店舗もどうにか変身し(涙)、

これからは「嫁」も変身、まではいかないが、私なりに小さな歩幅でも前に進みたいと思っている。

 

今回、岡山県真庭市勝山にある辻本店の「炭谷彌兵衛の会」に参加させて頂いた。

1804年創業、歴史ある蔵。

当時、美作勝山藩御用達の献上酒とされた「御前酒」。

御前酒蔵元の辻家は江戸時代から「炭屋」という屋号で呉服商を営んでいたが、

3代目彌兵衛 篤仁氏はそれを番頭に譲り、文化元年(1804年)に酒造業を創めた。

蔵元初代にちなんで酒名となった「炭谷彌兵衛」。(私はこのお燗が好きなのだ。)

一方、2007年に前杜氏原田氏急逝後、杜氏となった辻麻衣子杜氏。その当時はまだ妊婦さんである。

麻衣子さん率いる若手蔵人9人で造った「9-ナイン-」存在感も大きい。

ちなみに私は「9」から「御前酒」を知り、「炭谷彌兵衛」に出会った。

これから日本酒を知るであろう若人たち、このパターンも無きにしも非ず。

 

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初めての仕込み体験はどのシーンも印象深く、

あのお酒たちはここでこの蔵人たちによってこうして造られているんだ、としみじみ思った。

●精米

▼岡山の代表的な酒米・雄町は柔らかいお米。

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▼洗米機械にかけたあと、10分半浸漬させる。

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▼コメには腹と背があるそうで、腹から吸水し白くなる。

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▼脱水機(と言うのかな)に1分かけざる返し。

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●掛け米(1袋20kg)を仕込みタンクへ運ぶ

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●雄町米麹仕込み

二階へ上がり、麹室にて麹米を混ぜ合わせ、寝かし、広げ、混ぜ返し、寝かせ、と何段階もの作業。

優しい栗香が印象的。

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▼この扉の向こうは麹室。ほんのりサウナ状態で作業をすれば汗をかく。

蔵人(特に女性)の肌の艶々感は見事だ。

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●蒸米

ムラ無く蒸すために「抜け掛け」という、蒸気が抜けて来るところに白米を投入する作業を行う。

これは高い技術が必要とのこと、こだわりである。

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●もと(酒母)造り

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▼その名の通り「酒を生む母」

飲ませてもらったところ酸味あり。想像像していたほど酸っぱくない。

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▼一階の床(地下)を覗くと、そこは昔の「窯場」があった場所。

当時は早朝何時に蔵に入り、火を起こしていたのだろう。

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日本全国1500ほどの蔵があるそうで、

たくさんの蔵が造るたくさんのお酒たちの中から、

一体どのように選べば、どうお酒と出会えばいいのだろうと考えた。

これもやっぱり私の行きつく答えは「人」である。

造った人、そこの蔵の「人柄」によって味わいさえも変わってしまうかもしれない。

となると、伝える側の酒屋も「伝える人」として「人柄」なのかもしれないな。

 

夜の懇親会では、関西、関東、そして現地の酒屋さん、大先輩たちとお話ができた。

お燗酒の飲み比べ、このお料理にはこのぬる燗、にごり酒をぬる燗に、お燗タージュも見せて頂き、

造ったその蔵で、そこのお酒を、造り手売り手と飲む。

私にとってとても贅沢で何とも嬉しいひとときだった。ありがとうございました。

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「百聞は一見に如かず」とはこのことで、酒造りにグッときた、というのが一番の感想である。

酒屋の嫁引退60才(と決めている)までに、見たい事、感じたい事が増えました。

ありがとうございます。

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